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事例とレポート

SOHOの契約・債権管理について No.1

2005/04/27 14:05

[契約って、なんぞいな?]

「契約」を一口で説明すると、「当事者に法的な権利・義務の関係を発生させる、2者以上の約束」ということになるでしょう(理論的には正確ではありませんが)。
例として、もっともありふれた契約である売買契約で言うと、契約の締結によって、
  
 売主の権利=物の代金を貰う権利

が発生し、その裏返しとして(権利・義務は表裏一体)、

 買主の義務=物の代金を支払う義務

が発生します。
勿論、

 買主の権利=買った物の引渡し、所有権の移転等を求める権利。

その裏返しの、

 売主の義務=売った物を引渡し等し、所有権を取得させる義務。

が発生することは言うまでも有りません。
これに対して、「デートする約束」は「契約」と言えるでしょうか?
これは、当事者に権利・義務(勿論、法的な)を発生させるものではありません。
つまり、約束を強制されることも、約束を破ったからと言って、損害賠償を求められることも有りませんから、約束ではあっても、「契約」とは言えないわけです。
それでは、「結婚する約束」は、契約でしょうか?
これは、一種の人事契約(婚姻予約)として法的拘束力があり、これを破った場合、結婚を強制することは出来ませんが、約束を破ったことにに対して、ペナルティー(損害賠償)は課されることになります。

[契約の効果]

このように、「契約」と一口に言っても、個別の条項(もっとも、契約は原則として口頭でも成立しますので、「書いたもの」とは限りません。「個別の合意事項」と言ったほうが良いかもしれません。)により、

1. 直接、条項どおりの内容を強制的に実現できるもの 
  例)代金の支払い、現に存在する又は仕入れできる物の引き渡し、など。

2. 直接、条項どおりの内容を強制できないが、約束に従うまで金を支払いつづけるよう命令することなどによって、間接的に強制できるもの
  例)注文どおりの物(ソフトウェアやデザインを含む)を作らせる、など。

3 直接、条項どおりの内容を強制的に実現できず、損害賠償や違約金等の金銭的補償で代償するもの
  例)上の 2と同じ例、守秘義務条項 など。                 

なお、守秘義務条項等の違反は、損害賠償の対象になるものの、具体的な損害額の算定は容易ではない。
しかし、契約によって違約金(損害賠償の予定)を定めてあれば、相手方当事者が条項に違反したことさえを立証すれば、違約金の請求が出来るので、メリットが大きい。
逆に、自分のほうに違約金条項が課されそうなときは、契約締結前に、徹底的に抵抗すべきです。                           
        
と言う風に分類できます。
ここで大事なことは、「契約条項の内容は、すべて実現できるとは限らない」ということです。また、例えば、代金の回収は、上の1で書きましたように「直接かつ強制的に実現できる」と理屈の上では言えても、差し押さえできる財産が見つけられなければ、実際の回収は出来ません。
これらの事柄は、当然のことなんですが、良く理解していない方が多いように思います。
契約あるいは契約書の重要性は当然のことですが、多くの方が、「契約書が作成されている」ということで安心してしまっていることが実に多いのです。
これには2点あります。

1. 契約したことあるいは契約書に書いてあることは、すべて実効性が有り、必ず守られる、
  と思いこんでいる。

2. 相手が契約条項を守らないときにどう対処したら良いか、まで考えていない。

ということです。

この点は、次回以降に書きたいと思います。

ほかに、契約条項には、

・協議・交渉できるだけのもの
・事実上の、要求、文句を言えるだけのもの
・一定の場合、自らの義務をまぬかれうるもの
・権利関係等(著作権の帰属など)を確認するもの→確認の対象になった権利に基づく差止め請求等も有りうる。
・手続き・ルールを定めた条項(継続的取引における発注の方法、支払いの締め日・支払い日など)

があります。 

このように、契約するとき(特に契約書を作成するとき、はんこを押す前)に、各契約条項を分類してみて、相手方当事者が不履行の時には、どんな対処法があるのか、又は無いのか、自分が不履行の時にはどんな目に遭う可能性があるのか、また、そもそも、どういう状態が不履行(契約違反)と言えるのか?等を良く分析する必要があると思います。
その結果、「契約しないほうが良い」ということもあるでしょうし、「契約はするけども、契約書は作らず、口頭契約や注文書だけにして、引っかかる部分は曖昧なままにしておく」とかいう判断をすべきなのです。
 
また、私は、よく「契約書案のチェックをして欲しい」という依頼を受けますが、多くの方は(SOHOに限らず)、契約書の一般的な字ずらや書式のチェックを念頭に置いているようで、ご自分の問題意識や疑問点をぶつけてこられる方は非常に少ないのです。 
弁護士が契約書案の検討をする場合、長くお付き合いを頂いている顧問先等その企業なり業界の取引実態なりが大体理解できている場合は別として、一般には、取引当事者のバックグラウンド等からお聞きしないと、とても「契約書案のチェック」等できるものではありません。

このあたりの意識は、残念ながら、一般的にはまだまだ低いと思います。 
問題意識を持つためには、「なぜ、契約するのか。目的は何か」という点を明確に把握する必要があります。

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